出版時間:1999年4月 出版社:日本図書センター 作者:高村 光太郎
Tag標簽:無
內(nèi)容概要
人生遠視
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足もとから鳥がたつ
自分の妻が狂気する
自分の著物がぼろになる
照尺距離三千メートル
ああこの鉄砲は長すぎる
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昭和一〇?一
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裸形
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智恵子の裸形をわたくしは戀ふ。
つつましくて満ちてゐて
星宿のやうに森厳で
山脈のやうに波うつて
いつでもうすいミストがかかり、
その造型の瑪瑙(めのう)質(zhì)に
奧の知れないつやがあつた。
智恵子の裸形の背中の小さな黒子(ほくろ)まで
わたくしは意味ふかくおぼえてゐて、
今も記憶の歳月にみがかれた
その全存在が明滅する。
わたくしの手でもう一度、
あの造型を生むことは
自然の定めた約束であり、
そのためにわたくしに肉類が與へられ、
そのためにわたくしに畑の野菜が與へられ、
米と小麥と牛酪(バター)とがゆるされる。
智恵子の裸形をこの世にのこして
わたくしはやがて天然の素中(そちゆう)に帰らう。
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昭和二四?一〇
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